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シェフインタビュー No.3

日本人としての誇りを大切にする出張フレンチ料理人木下俊さん

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料理に興味を持ったきっかけは何だったんですか?

物心ついた頃から母親のお手伝いをするのが好きでした。母親は普通の専業主婦だったのですが、気が付いた時には自主的に手伝うようになり、その時から料理が好きだということを自覚していたのを覚えています。小さい頃から既に大人になったら料理を仕事にしよう、料理人になろうと決めていました。料理人以外の他の職業を考えたことは、これまでありませんでした。高校は普通の公立高校に行ったのですが、その時には既に料理の道に進むことを考えていました。そして高校卒業後専門学校に入り、19歳から料理の道に入ることになりました。もし仮に他の職業選べるとしたら・・・そうですね、いきなりは思いつかないのですが、少なくともサラリーマンは選ばないで手に職系の仕事を選ぶと思います。料理もそうですが、物を作ることが非常に好きなので、その方向のお仕事をしていたと思います。料理ジャンルとしてフレンチを選んだ理由は。単純におしゃれな料理だと思ったからです。華やかな料理をやりたかったですね。それで洋食の道に進みました。

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食材へのこだわり

得意料理は野菜を使った料理です。シンプルにサラダにして葉物の甘みや苦味を感じてもらったり、根菜類は少し食べ応えのある切り方にして食感を楽しんだり、オーブン焼きにしてホクホク感を味わっていただく。スープにして素材の味をさらに引き出して提供したりしています。あとは、肉料理のローストビーフやローストポークも得意です。お肉は火入れが命なのでとても気を使っており、お出しすると定評があります。他に気を使っている事は、旬の食材を使うということ。あまりこってりはさせない、味付けも濃くなりすぎず、食材の味を一番に伝えられるような方法を心がけています。今ある旬の食材を使い、食材の味を引き出す、というのは美味しく食べる上でも大事な考え方だと思います。 食材を生産者さんから直接仕入れているのですが、農家さん一人一人にしてもそうですし、食材一つをとっても様々な思い入れがあるわけです。そして自分はそれをわかって仕入れています。特に自分だけでなく家族も安心して食べられる無農薬・無化学肥料の野菜を使用しています。普通に育てるよりも難しい農法で、そういった育て方の思いを知ってから食べるのと食べないのでは美味しさも変わってきます。実際に味も違いますからね。もちろんお料理を提供する際には説明もするようにしています。

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修行時代について

若手時代はホテルで修行をしました。技術は見て盗んでいきましたね。あとは塩梅、塩加減や感性など自分の舌の感覚を磨きました。入社して三年目には全国から集った若手料理人のコンクールで優勝することも出来ました。スキルを伸ばすために心がけているのは、現状に満足しないこと。食材、調理法など新しいものを常に取り入れるようにしています。もちろん食べ歩きはフレンチだけではなく、好きな和食の割烹のお店などにも行きますね。そうすることで様々な刺激を受け、そこの大将と話をすることでインスピレーションを得たりします。後は本を読むことや、試作をすること、生産者さんのところに行き畑の様子を見学させていただき農作業のお手伝いをします。おいしい料理を作る上で大事なのは食材とインスピレーション両方なのですが、経験がないと、蓄積されているものがなく、インスピレーションも出てこないので、様々な場所やケースの出張料理・ケータリングを経験することで、蓄積するものを増やしていけていると感じています。修行時代は、それは非常に厳しいものでした。初めの1,2年は辞める人が多いのがこの業界の特徴です。自分の周りでも辞めていく人は多かったのですが、5年はやろうと決めていました。その結果ひと通りの経験をすることができました。部下、後輩の面倒を見るという経験を積むこともできました。もちろん厳しい世界ですから、辞めたようと思ったこともあります。特に、初めの1年は肉体的にも精神的にも厳しかったです。ただ、今後自分自身の足で歩いて行こうと決めていたから続けることが出来たのだと思います。

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影響を受けた料理人

昔はあまりいなかったのですが、最近は日本人だと六本木「龍吟」の山本征治氏。海外だと「元エル・ブジ」のフェランアドリア氏。他にはデンマーク「ノーマ」のレネ・レゼピ氏。シカゴ「アリネア」のグラン・アケッツ氏。食材の表現の仕方や演出の仕方、調理法と共に参考にしたりしています。もちろんそのまま取り入れるということはなかなか難しいのですが、食材を今一度見なおして、より美味しく食べてもらうにはどうしたら良いか、五感を楽しませるような料理を研究するようになりました。こういった勉強、研究をするようになったのは実はここ2年くらいなんです。きっかけは・・・結婚をした時に家族を幸せにできるような料理を作りたいと思いました。妻からのアドバイスがとても的確で正直で厳しく感想を伝えてくれます。人生のパートナーとして最高だと思っています。また28歳の時に45分間心肺停止して自分自身が倒れるという経験をしました。死の淵を彷徨うような経験で、この経験は自分自身の食事についても大幅に見直すきっかけになりました。

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料理スタイルについて

出張形式に特化しているのは、お客様に来てもらうのではなく、自分がお客様の所に行けるからですね。そしてお客様のご要望に対して可能な限り応えられます。当初は、出張形式なら初期投資のリスクも少なく始められるという部分もありましたが、自分が出張することによって人脈や自分の料理のファンを増やせます。お店を構えると場所の制約も出てきますしね。さらにはいろんな環境で料理するので経験値が上がるというメリットもあります。時期がくればお店も構えてお客様にも足を運んで頂けるような料理人になっているということですね。お店を構えても小さいお子さんがいらっしゃったりするとお店にも行けなかったりするので、ケータリングサービスは続けていきたいと思っています。

食べた後に言われて嬉しいのは、飾った言葉というよりは、地が出た言葉ですね。野菜がいつもと違う。盛り付けの仕方が綺麗。今まで食べた中で一番おいしい。体に優しい味がする。そんな言葉を掛けられると嬉しいです。

今の食の業界に対して

日本人なので、日本の食材、文化。そういったものを大切にして欲しいと思います。海外の目新しいものに目が行きがちです。もちろん海外を真似することも大切ですが、日本の伝統的な行事、食事を大切にするような機会をもっと増やしたいと思っています。食であればおせちの食材の意味ですとか、七草粥を食べる理由とかを知った上で食べてもらう。最終消費者、料理人どちらにもそういったことを知ってほしいです。日本人、日本というブランドにもっと誇りを持って欲しいです。洋食をやっていても、日本の食材を使うことを心がけている理由の一つです。

インタビュアーから

木下シェフ、海外の有名シェフを参考にしているというお話ですが、決して奇をてらったお料理ではありません。そして何よりも言えるのが「おいしい!」ということです。パーティーに参加しているお客様が会話そっちのけでお料理ができるのを待っている。木下さんが提供する出張料理サービスではよく見られるシーンのようです。大人数にも対応しているので是非一度ご検討くださいませ!

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PROFILE

木下 俊
専門学校卒業後、19歳よりロイヤルパークホテルに就職。料理人として駆け出しの頃に全国から参集した42名の若手料理人のコンテストで優勝。
その後、事業家としての成功を目指し独立。
各種事業を経験の後、2012年『モッシュキュイジーヌ』を設立。出張料理、イベントの企画・運営、ケータリングサービスを手掛け、イタリアン、フレンチ、エスニック等の本格手作り料理を中心に事業展開を行う。
農家直送の自然栽培野菜を使ったケータリングサービスが人気。