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シェフインタビュー No.16

美味しくないと続かない!健康と美味しさを追求した料理は食事制限から生まれた。出張料理人の下岡賢吉シェフ

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お料理に興味を持ったきっかけは何だったんですか?

最初に料理をしたのは小学生の時です。母親も働いており、3世代同居だったこともあり、子供が食べたいもの、ハンバーグとか洋食が食卓に上ることはあまりありませんでした。とはいえ、そういうものが食べたいわけです、子供ですから。地元は広島の山間部ですごく田舎、目の前は畑でした。要は、食材があったのです。それなら自分で作るのが一番早い!と考え料理を始めました。それが小学生のときでした。もちろん小学生ですし、野菜やお肉を切って炒めたものです。

両親もうまかったというか、土曜日に自分が料理したものを食べるわけです。そうすると、おいしい!また食べたい!ってほめてくるんです。子供は単純だから、俺って料理うまい!って思ってまた作るようになりました。うまく乗せられたかもしれませんね(笑)子供の私に、食材と自由に使えるキッチンを与えてくれたんですね。

また、食材にも恵まれていたようです。自分では、地元の畑の野菜を普通だと思っていたんですが、東京の知合いが来た時食べさせたら、野菜の甘さにびっくりしていました。スーパーに並んでいる野菜と朝露がついている野菜では、持っているエネルギーが違うんですね。その知り合いはえらく感動していました。

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その後の料理との関わりを教えてください

包丁の扱い方などは見よう見まねで覚えました。テレビの料理番組は好きでした。一人でできるもんやキューピー3分
クッキングなんかは自分が料理するからかもしれませんが、よく見ていました。

料理との関わり方で転機になったのは高校生の時の体験です。いとこの旦那さんが、イタリアンのシェフだったんです。当時、イタ飯ブームの前で、イタリアンを食べられる機会がありませんでした。もちろん私も知りませんでした。初めて食べさせてもらって、野菜のフリットとか、半分に切っただけの大きなチーズの中にリゾットが入っており、溶かしながら食べるものとか、イカ墨のパスタとかを食べて、衝撃を受けました。高校生1年くらいの時のことです。

1人暮らしをし始めたら自分でもイタリアンを作ってみようと思っていて、実際に1人暮らしした時にやってみたんです。確かにおいしい。最初はレシピ通りに作りました。そうするとえらいコストがかかる。パスタだけでも2000円以上かかる。それだったら外食した方がいいじゃん、と思いながら、料理をしていました。

やっているうちに、多くの料理、特に伝統的な料理は食材を生かすこと、うまく味を引き出すことが重要だと気付いてきました。レシピから始めるのではなく、その土地の美味しいものに合わせたレシピを使うことがエコだし、最終的に美味しいものができる。そんな当たり前のことに気がつきました。

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他の方に振る舞うようになったのはどんな経緯があったんですか?

会社の顧問税理士さんがきっかけです。Facebookで自分が作った料理をよく投稿していたのですが、ある日投稿した直後に税理士さんから「食べに行って良いか?」という連絡がありました。しかしながら写真投稿時には、その写真の料理は食べ終えていました。食事を食べ損ねた税理士さんが、今度、私の料理を食べたいということになり、どうせなら大勢でホームパーティーをしようというところまで話が広がりました。それが今やっているフードイベントの前身です。

パーティーを何回かやっていくうちに、料理やる人がいるよ、という話が広まり、渋谷のコワーキングスペースの代表の方とお話をする機会にも恵まれました。渋谷にはあまり手作りのお料理を食べる場所がないから、コワーキングスペースを使っている人たちに食べさせてほしいというリクエストでした。そこから始まったのが仕事場に夕食をケータリングするというサービスです。

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お料理のスキルはどうやって磨いたんですか?

基本は自分で試しながらですね。お店などで食べたものがどういう組み合わせで再現できるかわかるんです。音がどの音域か聞くだけでわかる絶対音感の食バージョン。この鋭敏な舌があると、食材を食べた時、その中にかすかに感じる別の食材の味があります。それ同士を組み合わせるとすごく馴染む、それを使って考えてます。これが、今の私につながっています。

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お料理に対するこだわりはありますか?

美味しさだけでなく健康を意識した料理、食べると優しい味がするような料理ですね。体は食べたものでできています。良くも悪くも日々の積み重ねが大きな変化をもたらすこともあります。実は最近、10年以上付き合っている病気の治療のため食事制限を始めていまして。アメリカで西洋医学と東洋医学(チベット医学)の両方をやられている先生に診察していただいたんです。そこで出てきたのは、私が避けるべき食べ物がたくさん記載されているリストでした。物理的に何もしないのによくなるのかな?と試し気分で始めたのですが、ちゃんと効果があった。成長していたものが小さくなったんです。すごいと思い調べていくと最新の医学でも私がそれを避けなければいけない理由が見つかっていた。リストにある食べ物の中には、病気とは関係なく体を良くしていく目的のものも含まれており、万人にも当てはまるものもあります。これは他の人にも知ってほしいと思いますよね。

ただ食材を避けても美味しくない食生活は続かない、経験しているのでわかりますが、たくさんの食材を避けながら料理することは大変、味が決まりません。私は運がいいことに、制限された食材の中でも新しい組み合わせを見つけることを楽しめる。例えば、精進料理などはいい例ですね、制限のおかげで、ものすごくクリエイティブ。私の料理もそう。健康のためとはいえ、制限が生まれ、その中でも美味しく食べられるように創意工夫しています。この創意工夫することが楽しい。作っていて気づきましたが、この制限の中では、甘味や風味を食材から引き出さなければならず、結果、優しい味に仕上がります。だから続けられるんですね。自分が証明だから、自信を持ってすすめられる。

特に今は、ヘルス・コンシャス(健康を意識した)な人たちが多くいるロサンゼルスにいます。この場でしか感じ取れないフィルターを通して料理を磨いていきたい。それを皆さんと共有したい。どうせ食べるなら美味しさと健康を両立したいですよね!って理念も含め料理を提供していきたいので、なかなか予約はできませんがタイミングが合えば予約してもらえればと思います。

インタビュアーから

アメリカの今を味わえる美味しさと健康を両立したヘルス・コンシャスな料理。そんなお料理の体現を目指す下岡シェフのお料理、楽しみですね。

Simomeal kenkichi

PROFILE

「デジタルを生業にしているからこそリアルを発信したい」その考えから食に対する様々な活動を実施。その活動範囲は食を使った勉強会からワーキングスペースへの夕食提供、イベント・シェフと多岐にわたる。

作る料理は、調味料は極力使わず、食材本来の味を引き出す事に注力したもの。また、調理の際に起こる変化をキッチンにあるもので代替する kitchen hack を好む。

2015年からLAに渡り、帰国時のみシェフとして活動。異文化が影響し合い生まれるNew Americanと呼ばれるジャンルの料理を時差なく提供していく。

1973年9月19日生。広島県出身。デジタル・エージェンシーのディレクターが本業。