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シェフインタビュー No.10

栄養学の観点からも安心で、日本人に合ったおいしいフランス料理を提供する松崎シェフ

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お料理に興味を持ったきっかけは何だったんですか?

気が付いたら料理が好きだったんですよね。きっかけと言えば、そうですね、小学生の時にすごくきれいなフランス料理の写真集を見ていて、おいしそうだな、どんな味がするのかなと思っていた記憶があります。その頃から料理にすごく関心があったのは確かです。でも、普段の食事のお手伝いなんかはあまりしなかったです。それよりも、小学校や中学校の時って夕食の前にお腹がすいている時が多いじゃないですか。そうなると帰ってから自分でおやつを作りたくなるんですよ。ただ当時は甘いものがあまり好きではなかったので、サンドイッチ作って食べていたりしましたね。だから自分で作ることは好きだったんです。クリスマスには必ず妹と二人でクリスマスメニューを何日も前から考えて作ったりしていましたから。サラダ、オードブル、メイン、クリスマスケーキまで。鶏の丸焼きとかです。中学生、高校生の時も作ってましたね。甘いものはあまり好きではなかったといいつつも中間試験、期末試験が終わったら打上げと称して何故かケーキを焼いていました。何でやっていたかはよくわからないですが、作ってました。単純に作るのが好きだったんだと思います。

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仕事にする、本格的に学ぼうと思ったのはいつくらいでしょうか?

料理を作ることに関して勉強するという意味で一番大きかったのはル・コルドン・ブルーに行ったことですね。コルドンブルー自体は結構前から知っていて、どうしようかな、行こうかなと思っていたんです。でもなかなか踏ん切りがつかなかくて。。当時は料理の仕事をしていたわけではなかったので、そうこうするうちに広島に転勤になってしまいました。あーもう広島じゃ行けない・・・ってその時は思いました。しかも広島での仕事は結構大変だったんです。そんな中、後輩と一緒にご飯を自分の家で食べる機会がありました。そうしたら私の料理を食べた後輩が、料理を教えてほしいって言ってくれたんです。そこで、広島市内の中心部に個人ですごく素敵なお料理教室をやっている方がいて、事務所の近くだったので、いきなりそこに貸してくれませんか?って履歴書を持って頼みに行ったら、その人も太っ腹な人で、普通は貸さないけど、友達価格でいいわよーって、貸してくれたんです(笑)。それで破格の安さで月1回借りることができて。会社の人とか後輩とか相手に食材費だけもらってしばらく料理教室をやっていました。でもそういうことをやると、逆に基礎から勉強したいなと感じるところがありましたね。それで今度転勤で東京に戻ったら絶対コルドンブルーに行こうと思ったんです。で、その後東京に戻ってきたので、すぐに週末のクラスに入学しました。平日は仕事をしてましたからね。

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主席で卒業ってすごいですね!

主席というのは味だけで決まるわけではないんですよ。2時間半以内に作り上げて、シェフに味とプレゼンのチェックを受けないといけません。毎回毎回点数が付いていく。最終試験では、試験当日お料理のくじ引きをして、引いたくじには、分量表だけフランス語で書いたものが渡されるんです。あとは何も持って入ってはいけない。時間内に作って、シェフがいるテーブルのこっち側に並べろ、みたいのがあって、全部ドアを閉めて、人払いしてシェフがチェックするんですね。そして合格、不合格になる。その時の総合点で、上位3名が修了パーティーの時に発表されるんです。そこで1番だったんです。試験の時は、そりゃーちょっと殺気立っているくらいの真剣度です(笑)今やっている料理のベースはほとんどコルドンブルーでの経験あったからこそ。コルドンブルーでの学びがなかったら今の料理は作れてないです。

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その後料理の世界に転身されたんですか?

卒業してからしばらくの間は、どうしようかな、と考える時期がありました。その後料理というよりも栄養のことをやりたくなったんです。きっかけの一つは母親が体を壊して食事療法が必要になったからです。そのほかにも、コルドンブルーに行っていた時に、フレンチなので高カロリーな料理を作るわけです。またお菓子のクラスでも学んでいたんですが、毎週毎週ワンホールのケーキが出来上がり、食べきれないのでいろんな人に食べていただく。そういうのをひたすら食べていると、日本人にとっては、おいしいけどかなり胃に来るわけです。だけど、似たようなものをフランス人は毎日食べて元気でいるわけで、この違いはいったい何?って思いました。体質が違うんだろうなって思って、その体質の違いってどういうこと?って考えました。また栄養的に何食べればいいの?ってことを料理してるんだから知ってるんじゃないの?という質問をよくされたんですが、何一つ答えられなかったんです。自分の中に核となって回答できるものが何もなかった。そういうの勉強したいなって思って、探したんだけど何もなかった。ツールになるものが。仕事も忙しかったので、どうしようかなと思って、週に1、2回だけ駒込の女子栄養大学の2部の聴講生として栄養学の勉強をしました。そこで思ったのが、どうしてみんな栄養学を勉強しないんだろうって。栄養学を料理に絡めてっていうのもあるし、いろんな人が知識をちゃんと勉強できる環境を作れたらいいのにと思いました。でも、会社はすごく忙しかったので、仕事しながらは全然無理だなと思い、ここは腰を据えて、仕事はやめて勉強と研究をしようと思い女子栄養大学大学院に入った。というのがシフトしたきっかけ、経緯ですね。

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栄養学がポイントですね。

栄養学を学ぶ前からも思ってましたが、食べ方ってわからないですよね。何を食べていいかわからない。例えばカロリーのことを気にしている人はカロリーだけ気にしてても意外と痩せなかったりとか、体調がよくなかったりとか、正しい食べ方のようなものがすごくわかりづらい世の中だなと思うんです。これを食べたらこれに効く、という単純な情報は溢れています。でもどういう組合せでトータルとしてどういう食事をしたらいいのか、というのは意外と情報がないと思うんです。だから、自分が料理をやるにあたっては、料理を作るのはもちろん一生懸命やるのですが、プラス栄養学にヒットするようなところに持って行きたいなという想いがあります。料理教室をやっているのは、栄養のことだけ知っていても、おしいく作れたりおいしく食べれなかったらあまり意味がないと思っているからです。知識ではお腹はふくれないし、栄養にはならないので、ちょっとでもおいしく簡単に作れる方法を実践できる方法として、料理教室をやっていきたいと考えています。PRIME CHEFでのケータリング、出張料理の話をお受けしたのも、同じ流れです。いろいろなところで料理を提供することで、栄養のことを語っているのに、おいしい料理だな、味付けはこういう感じでやるんだ、というのがわかって意外と味も見た目も悪くないじゃん、みたいな感じで、私が作っておいしいと思ってもらえる人が多くなるのは悪くないなと思ったからなんです。

だから料理教室の時は栄養のことは積極的には語ってはいません。もちろん求められれば語ってますが。料理教室で作っている料理は極力塩分と脂質は抑えていますし不自然な味になるようなものは基本使わない作り方をしているので、そういうのでもおいしく作るやり方がありますよ、というのをお知らせできる場としてやっていますね。

出張料理も家族が集まって食事をしたりする時に、たとえばご高齢の方が体を壊されていて、普通の食事処に行ってもおいしく食べれない、でもみんなで食べたいという時とかに、1人分だけメニューを変えるとかできる。そういう対応をしていけたらと思ってます。

インタビュアーから

コルドンブルーを主席で卒業、というご経歴からものすごく料理の味や見た目に厳しいのかな、と思っていました。もちろん厳しいとは思うのですが、それ以上に栄養学というものに注目されているということは非常に興味深いなと思いました。その中でも、情報の取捨選択が難しいというのは、現代社会の他の分野でも言えることではないでしょうか。疑問に思ったら調べてみる、総合的な観点からも検討する、そういったことが大事なのかもしれませんね。

La table de m matsuzaki

PROFILE

松崎えり
料理教室 La Table de M(ラ・ターブル・ド・エム)代表。フードコーディネータ、ハーブコーディネータ 。

野菜をたっぷり使った体にやさしい料理が得意。すべてのレシピは化学調味料不使用で自然な美味しさを提案している。専門はフランス料理だが、手作り味噌や手作りポン酢を作るなど、家庭的な和食も得意。料理は、味はもちろんのこと、見た目の美しさも重要な要素と考えて、実践を心がけている。

栄養学修士。
LE CORDON BLEU (代官山校)料理課程を主席で修了、菓子課程を修了し、グランディプロム取得 。Paris Ecole Ritz Escoffier 短期クラス修了。